昭和75年12月11日(月)

もし、バリバリの猪木信者の人がデパートでバッタリ猪木と出会ったら、一体どんな反応(行動)するんだろう?(やっぱ、ビンタお願いします!か?)
もし、バリバリの右翼の人が街でバッタリ天皇と出会ったら、一体どんな反応(行動)をするんだろう?(やっぱ、バンザーイ!か?)
もし、バリバリの総連の人が飲み屋でバッタリ親愛なる金正日書記長と出会ったら、一体どんな反応(行動)するんだろう?(やっぱ、マンセー!か?)
もし…(しつこいか?)
そう、先日私はこの「IF」な状態に陥ったのであります。
土曜日、コサックミーティングの為、ミゾ宅へ集合することになった。その前に、なんとなくタコシェへ足を運んだのだ(今思えば、そこで私の霊感山勘第六感が働いたのだろう)。そこで私は、衝撃的な出会いをしたのだった。
私が敬愛し、尊敬し、心酔している、劇画家であり映画監督である、偉大なる石井隆先生が、目の前に居られるではないか!
そう、この時タコシェで偶然にも石井隆先生の原画展を開催中。しかもこの日は石井隆先生がご来店される日だった。私は目頭が熱くなり、呼吸が乱れ、鼓動が著しく早くなり(あぶねぇな)、とにかくボゥと石井隆先生のお姿を眺めた。
私は、フト我に返り「何かコミュニケーションを取らねば」と思った。あの映画の話やら、あの作品の話やら、アレヤコレヤ…が、しかし。言葉が出ない。何を話したらいいか、まったくわからない。いや、私の頭がパニックを起こしているのだ。
私は、タコシェ店内をまるで檻の中のクマのようにグルグル廻り(注:店の中はそんな広くないっす)、ただひたすら「落ち着け〜、落ち着け〜」と自分に言い聞かせてみた。おれは、まるで「あばれはっちゃく」のようではないか。全然落ち着いてないのがバレバレである。
そして十数分後、私は勇気を振り絞って石井隆先生に声を発した。
「あ、あのぉ、すいません、この『おんなの街』ください」
フェティストの私はイクジナシであります。
でも、きっと猪木信者の人も、右翼の人も、総連の人も、こんな状況になったら同じ様な行動しうんじゃないかなぁ…と思う今日この頃でありました。

今回の爆読
「おんなの街(全2巻)」石井隆
目の前でサインを頂きました。
本当にありがとうございます。一生家宝にします。
でも、恐れ多くて、まだ頁をめくれません。
うう、でも読みたい…どうしよう?

*この日、石井先生にお会いできたのは奇跡とかというよりも、人生です。