「生まれてはじめてだよ!こんなに人を好きになったのは…」咽び泣く

と語ってくれた関東在住(詳しい場所は忘却の彼方)の彼。
彼との出会いはほんの数日前であった。
我が職場の愛すべきクソ親父が、新サイト立ち上げのために、今まで続けていたメル友とお別れしなくてはいけなくなってしまった。
クソ親父が抱えるメル友(一般的には顧客)は、半端な数ではない。
そのヤカラに、クソ親父は一体どうやって別れを告げたのか。それは
「私、他に男が出来たの。もう用無しよ。バイバイ」
今までラブラブ(人によってはメールエッチもしていた)な状態だったのに、たったこの一言で終り、ある。
多種多様な返事が返ってきた。あっさりとバイバイしちゃう者、騙された!と怒る者、まったく何が起きたのかわからず、動揺している者…。
が、まったく返事を返さないでいると、だんだんと男たちは諦めていった。
しかし、ここに尋常ではない量のメールを、まるで叩き込むかのように返信してくる男がいた。
その男のHNは「京」
なんだか他人事とは思えなかった私は、京へ掲示板にて呼びかけた。
「京さん、リナ(親父のHN)から話は聞いてたよ。ここで詳しくはお話できないけど、ちょっと理由があって。もし、ここを見ていたらメールしてください。」
ええ、予想通りメールがすぐに来ました。
私は彼に話ました。その理由を。
「リナは実家が段取りした男の人と結婚することになったの。リナの実家って今、数千万の借金があって、それで…。リナも辛そうだったけど、しかたないって。でも、唯一の気がかりは京さんへウソをついて別れたって事、ってリナは言ってたの。だから、私がリナに代わって京さんへ訳を伝えようって思って書き込みしたの。リナの気持ち、わかってあげて…。」
私は京を宥め、早く目を覚まして欲しいと思い彼を諭した。
それなのに…。
まるで愛の嵐のように、この物語はめまぐるしく展開していくのだった。
まぁ、メールと京の頭の中だけなのだが。
(続く)

*怒涛の恋愛地獄油の地獄。